時間返してもらった夜、半年ぶりに湯船につかった

令和8年11月1日(日)

 

今朝は、10時前に起床。

私にしては上出来です。

……と言っても、昨日でサマータイムが終わり、時計が1時間戻ったからなのだけれど。

 

春に先払いした1時間を、秋になって返してもらったようなもの。
つまり、もともとは私の1時間です。

理由はどうあれ、10時前に気持ちよく目が覚めたのだから、それでよし。

 

それにしても、10月も最終週になると、ポートランドはもうすっかり冬の顔です。

「サマータイム」と呼ばれていたことが、なんだか信じられないくらい寒い。

そもそも「サマータイム」と呼ぶから違和感があるのかもしれない。

英語では、Daylight Saving Time。

Daylight=日光
Saving=節約
Time=時間

直訳すれば、「日光節約時間」。

……これなら、なんとなく納得できます。

日光を節約するための時間。

 

そんなことを言っている場合ではないくらい、気持ちの上ではサマータイムはとっくに終わっています。

少し前から、夏の間は出番のなかったHatchの目覚まし時計も復活しました。

朝は人工の光を浴びて、なんとか起床。

起きている間は、リビングで暖炉に火を入れ、

夜、ベッドに入るときには布団乾燥機。

こうして並べてみると、私の暮らしはすっかり冬仕様です。

 

そして、冬になると恋しくなるものが、もうひとつ。

いや、私にとっては「ひとつ」どころか、かなり上位。

お風呂です。

            

我が家のお風呂場は、何の変哲もない、ごく普通のアメリカのバスルーム。

日本人の目から見ると、「お風呂」というより「バスタブ付きシャワー」と呼んだほうがしっくりくる、あの感じです。

 

それでも昨夜は、サマータイムが終わって1時間長くなった夜を利用して、半年ぶりくらいにゆっくり湯船につかりました。

これがもう、至福。

お湯に浸かるだけなのに、なぜこんなに幸せなのか。

日本にいた頃は、お風呂なんて毎日の生活の一部だったのに、こちらではちょっとしたイベントになっています。

毎日入る余裕はないけれど、週に一度。

金曜か土曜の夜に、少し無理をしてでも湯船につかる。

それだけで、週末の満足度がぐっと上がる気がします。

 

暖炉の火。
布団乾燥機。
人工の朝日。
そして、お湯。

冬の暮らしは、なんだかいろいろと手がかかる。

でも、そのぶん小さな幸せを見つけるのも上手になるのかもしれません。

昨夜は1時間増えた夜のおかげで、半年ぶりのお風呂。

春に先払いした1時間が、まさかお風呂になって返ってくるとは。

時間って、なかなか粋なことをします。

            

お嬢さんにとってのお気に入りは、やっぱり暖炉前のVIP席でしょうか。

 

1週間の食事記録|ご飯とお味噌汁さえあれば何とかなる

10月25日ー10月31日

           

               (チャッピー画伯作)

 

先週は食材の買い物について書いたので、今週はその食材たちが、その後どうなったのかを記録しておこうと思います。

買い物をした時点では、冷蔵庫の中の食材はみんな未来を持っている。

「これであれを作ろう」
「この野菜は副菜に」

などと、こちらも一応それなりの計画を立てている。

一週間後。

だいたい計画どおりになったものと、そうでもなかったものがいる。

人生と同じである。

10月25日(日)

朝と昼は、記録も記憶もなし。

こういう日がある。

食べていないわけではないと思う。たぶん。

夜はちゃんと記録が残っている。

   

   

  • ツナ、アボカド、モッツァレラチーズの漬け丼

  • 豆腐としめじの味噌汁

  • にんじん・ズッキーニの和え物

  • 蒸しブロッコリー

  • かぼちゃのガトーインビジブル

夕食だけ見ると、かなりちゃんとしている。

漬け丼があり、味噌汁があり、野菜もあり、最後には(下手だけれど)かぼちゃのデザートまである。

朝と昼の記憶がないことなど、すっかり帳消しになりそうな夕食である。

10月26日(月)

朝は、

ゆでたまご、蒸しブロッコリー、蒸しさつまいも。

私の朝ごはんの基本形です。

 

昼は、ごはん、前日の残りの味噌汁、ポークチョップ、インゲン豆。

     

 

夜も前日とほぼ同じ。

大抵、料理するときは最低2回は食べられるよう多めに作ります。

一度作ったものは、翌日も働いてくれる。

冷蔵庫の中に、昨日の自分から今日の自分へのプレゼントです。

10月27日(火)

朝は月曜日と同じ。

ゆでたまご、ブロッコリー、さつまいも。

 

昼はお好み焼き。(これも土曜夜の残り物)

夜は、ごはん、味噌汁、ポークチョップ、インゲン豆、納豆。

ポークチョップがまだいる。

月曜日から引き続き、火曜日も食卓に登場。

 

10月28日(水)

水曜日の朝は、職場の毎月恒例「ベーグルの日」。

ベーグルとクリームチーズ。

朝ご飯は決まっているけれど、こういう変化球もいい。

 

昼は、ごはん、味噌汁、鶏肉のマスタードソース、さつまいもとインゲン豆、にんじんとズッキーニの和え物。

 

夜は、ベーグル半分、サーモンサラダ、ゆでたまご、蒸しブロッコリー、りんご。

 

10月29日(木)

朝はオーバーナイトオーツ。

 

昼はツナと小松菜の混ぜご飯、味噌汁、抹茶チーズケーキ。

 

ここで突然、抹茶チーズケーキが登場する。(前に作って冷凍しておいたもの)

健康的な昼食の中に、静かにデザートが座っている。

 

夜はサーモンサラダ丼、白菜・豆腐、しいたけと春雨のスープ、納豆、りんご、羊羹。

 

サーモン、納豆、りんご、羊羹。

こうして並べると、和食なのか洋食なのか、もうよく分からない。

でも一人暮らしの食卓なんて、たぶんそんなものだと思う。

自分が食べたいものと、冷蔵庫にあるものと、賞味期限が近いものが、静かに話し合った結果である。

10月30日(金)

朝は、記録も記憶もなし。

今週二度目の「朝の空白」。

 

昼は、味噌汁、鶏肉のマスタードソース、さつまいもとインゲン豆、にんじんとズッキーニの和え物、そしてかぼちゃのガトーインビジブル。

 

 

そして夜は、外食。

ステーキ。

  

一週間、家でいろいろ食べてきて、金曜日の夜にステーキを食べる。

これはなかなか良い終わり方である。

料理と後片付けをしなくていいっていうのが何よりもいい。

 

10月31日(土)

朝と昼はコーヒーのみ。

ハロウィンなのに、朝昼がコーヒー。

流石に前日に食べ過ぎました。

 

そして夜は、

サーモン、ブロッコリー、にんじん、椎茸の炊き込みご飯。

具沢山のお味噌汁。

       

一週間の終わりに、なんだかとても落ち着く夕食になった。

炊き込みご飯と味噌汁。

結局、こういうものに戻ってくる。

 

冷蔵庫の中身も、私の生活も、予定どおりにはいかない。

でも、最後に温かいごはんと味噌汁があれば、それで一週間を無事に終えた気がします。

 

さて、先週の食材たちにはここでいったんお休みしてもらって、今週の食卓に向けて、また新しく買い物をしてきた。

今週は何を食べることになるのか。

買った時点では、ある程度決めてはいるけど、実際に作るかどうかは…?

 

というわけで、最後に今週買ったものも記録しておきます。

    

〆て$121.92也。

炭酸水は4箱で$10.00のセールだったので、ついつい買ってしまった。

無駄だったかな、と思いつつ、$10減ったとしても、$100超えちゃってるしね。

ちょっと投げやりな節約生活です。 

雨が降らなければ晴れ。今週も自転車で食材の買い出しへ

           

                (チャッピー画伯作)

 

アリゾナ州に住む友人とテキストで話していたら、

「最近寒いし、天気も悪い」

と言う。

こちらポートランドも、朝晩はかなり冷え込んできた。とはいえ、今年はまだ暖炉に火を入れていないし、雨も例年ほど多くない。

なので私は、

「こっちは天気いいよ」

と返した。

「そういうこともあるのね」なんて話しながら、ふと思ってiPhoneでお互いの天気を見てみる。

すると、

 

フェニックス:最高気温77°F、最低気温60°F、ほぼ晴れ。

ポートランド:最高気温57°F、最低気温40°F、曇り。

 

……あれ?

何だ、やっぱりアリゾナのほうが暑くて乾いているじゃん。

というか、最高気温77°F・最低気温60°Fって、めちゃくちゃいい天気では?

友人と笑った。

「寒い」「天気が悪い」というのも、住んでいる場所によって基準がずいぶん違うもんです。

 

ちなみに私の中では、雨が降っていなければ、曇りでも晴れです。

これはポートランドに来て身についた感覚というより、北陸育ちだからかもしれない。

「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるような環境で育っているので、雨は特別な天気ではなく、もはや日常。

雨が降るたびに「今日は雨か……」と落ち込んでいたら、生活が前に進まない。

だから、雨が降っていない日は晴れ。

空がどんよりしていても、雲の切れ間から太陽が出ていなくても、雨さえ降っていなければ、私の中では十分に晴れなのです。

そんなわけで、今年は今のところ雨が少なめ。

ただ、来週からは雨の予報が続いている。

雨が降る前に、今週の「晴れ」を満喫しておこう。

ということで、今週は自転車で食材の買い出しへ出かけました。

 

家を出た直後は、やっぱり寒い。

「今日は自転車じゃなくてもよかったのでは……」

と、一瞬だけ思う。

ところが、しばらく走っていると身体が温まってきて、スーパーに着くころにはちょうどいい具合。

日頃の運動不足をしみじみ感じながら、お買い物です。

 

                 今週の収穫品

      

今週は冷凍ピザが半額でした。

買う予定はなかったのだけれど、半額という言葉には相当な説得力がある。

ついつい購入。

しかも、3つ。

冷凍ピザなんて、数ヶ月に1回くらいしか食べないのですが、冷凍庫にひとつ入っていると、在宅勤務の日のお昼に何かと便利なのです。

「今日はもう何も考えたくない」

という日の、頼れる非常食。

3つもあれば、しばらく安心です。

 

今週のお買い物、〆て$54.66でした。

予定外の冷凍ピザ3つも入っているので、まあ、よしとしましょう。

ちゃんと食べるので、これは無駄遣いではなく、将来への自分の昼食への先行投資ということで…

そもそも自転車で買い物に行くと、持って帰れる量に限界があります。

これが意外と便利。

車で行くと、つい「もうひとつ買っておこうかな」となりがちですが、自転車の場合は、

「……これ、どうやって持って帰る?」

という現実がすぐ目の前に立ちはだかる。

そのため、自然とショッピングリストに忠実になります。

自転車の荷台、思わぬ家計管理能力。

             

 

もちろん、多少の予定外の買い物はあってもいい。

ちゃんと買ったものを食べて、使い切るのであれば、そこまで厳しくしなくてもいいかなと思っています。

今の私の目標は、冷蔵庫の廃棄食材ゼロ。

とりあえず買ったものを無駄なく食べること。

そのくらいの、ゆるい家計・食費管理が今の自分には現実的なのです。

 

そして来週からは、いよいよ雨。

ポートランドの「晴れ」は、どうやら今週までのようです。

雨が降らないうちに自転車で買い物に行けたし、冷凍庫には半額のピザもある。

これで雨の日の在宅勤務も、まあ、なんとかなるでしょう。

天気も家計も、完璧を目指さない。

そのくらいが、私にとって長続きする秘訣な気がします。

 

         

         多分、これが今年の見納めのご近所さん宅の紅葉

          

更年期って、まさに秋なのかもしれない

令和8年10月18日(日)

 

     

                (チャッピー画伯作)

 

10月上旬までは、「地球温暖化」という言葉が頭から離れないくらい暖かい日が続いていました。

ポートランドも、いつまでも夏の続きのような顔をしていたのだけれど、気がつけば、ゆっくりと、でもちゃんと季節は進んでいます。

朝晩は少し冷え、木々の葉も、緑一色だったところに赤や黄色が混じり始めた。

私は、この時期の木がいちばん好きです。

まだ緑も残っているし、赤や黄色もある。
「これから全部、紅葉します!」という一歩手前の、なんとも中途半端な状態。

でも、その中途半端さがいいと思う。

 

緑から赤や黄色へ。
夏から秋へ。

何かが変わっている途中の景色には、完成したものとはまた違う美しさがある。

      

 

そして最近、私の身体も、着実に「変化の途中」にある。

そう、更年期です。

体重は確実に増えている。
以前なら「ちょっと食べすぎたかな」で済んでいたものが、今では息をするだけで体重に反映されている気がする。

そして、ホットフラッシュの兆候。

アメリカ人が長袖を着ている中、私だけ半袖で平気な顔をしている、という若い頃には考えられなかった現象も起きています。

 

先日は、

「最近、目が敏感になった気がするんです。パソコンのモニターが眩しくて、涙が出てくるんです」

と医者に訴えたら、

「ああ、ドライアイかもね。それも更年期ではよくあることよ」

とのこと。

 

なるほど。

こうなってくると、身体に何か不調が起きるたびに、

「それ、更年期かもしれませんね」

という一言で、かなりのことが説明できてしまう。

便利なのか、便利じゃないのか。

 

友人とも、

「医者に訴えても、治してくれるというより、『あ、それね。この年代なら普通だから安心して』って宥められるのが治療になったよねぇ」

と笑い合ったところ。

若い頃は、身体に何かあれば「原因を探して、治す」だった。

今は、「それは年齢的に普通です」と言われて、なぜか安心して帰ってくる。

診察室での着地点まで変わってくるらしい。

 

秋晴れの今日。

近所の黄葉を楽しみながら、いつもと違う道をお嬢さんと散歩をしました。

空は青く、空気はひんやりしている。
木々は緑、黄色、赤。

                  

                 

          

                このお宅の紅葉を見るのが毎年のお気に入り


その景色を眺めながら歩いていたら、

更年期って、まさに今のこの季節なんじゃないだろうか、とふと思った。

若い人から見たら、もう枯れかかっているように見えるかもしれない。

でも、もっと年上の人から見たら、

「まだまだ緑が残ってるじゃない」

なのかもしれない。

 

みずみずしさは、とうに失いました。

肌も、体力も、夜ふかしした翌日の回復力も。

でも、変わっていく途中だからこそ見える景色もある。

若い頃とは違う身体。
若い頃とは違う考え方。
若い頃には気づかなかった、小さなことへのありがたさ。

それらが少しずつ混ざり合って、今の自分になっている。

そう考えると、赤と黄色と緑が混ざった、今の木々の色とよく似ている。

 

ところで、「更年期」の「更」という漢字には、「新しく改める」「改めて変える」といった意味があるらしい。

「更」という字をあらためて眺めてみる。

更年期。

そうか、ただ古くなっていく時期ではなくて、次のライフステージへ向けて、自分の心と身体を少しずつ更新していく時期。

そう考えると、「更年期」という言葉から受ける印象が、少し変わってきます。

まぁ、体重が増えることまで「人生のアップデート」と言われると、それはご遠慮したいのだけど。

とりあえず今はまだ、緑も残っているし、赤や黄色もある。

そして私は、周りのアメリカ人が長袖を着ている中、今日も半袖だったのでした ( ´∀`)

ハロウィンのカボチャを折りながら、考えたこと

令和8年10月16日(金)

 

アメリカでは、独立記念日が終わったあたりから、うっすらとハロウィンが始まります。

お店にオレンジ色のカボチャが並び始め、まだ夏の名残があるうちから、世の中は少しずつ不気味な方向へ。

そして10月に入ると、いよいよ正式解禁です。

 

私の職場でも、コンプライアンス部と人事部の主導で、恒例のいたずらが始まります。

なぜこの組み合わせの部署が主導するのか。考え始めると少し気になりますが、そこはあまり深く追究しないことに。

私にも、いくつか担当があります。

 

ひとつ目は、出社した社員がイニシャルを記入するサインインシート。

いつもと微妙に名前の順番を変えてみたり、ホラー作品の登場人物の名前をこっそり紛れ込ませてみたりします。

出社した社員が、いつものように自分の名前を探す。その、ほんの一瞬の「ん?」を狙うわけです。

 

ふたつ目は、社員のデスクの高さを微妙に変えること。

大幅に変えると、いたずらというより業務妨害になりかねないので、あくまでも微妙に。

そして、いたずらの目印として、チョコレートを入れた折り紙のジャック・オー・ランタンと、「Treat AND Treat」と書いた付箋を残します。

Trick or Treat ではなく、Treat AND Treat。

いたずらを仕掛けたうえに、お菓子まで置いていく。なかなか欲張りなシステムです。

もちろん、こういう冗談を楽しんでくれそうな社員だけが対象。笑ってもらえてこそのいたずらですから。

              

        

 

そんなこんなで、いたずらのペースに遅れないよう、私は仕事の合間にせっせと折り紙でジャック・オー・ランタンを作っています。

 

そして毎回、折り紙を折りながら

この図案を考えた人、いったいどうやって思いついたんだろう。

なんて思いに耽ります。

子どもの頃から当たり前のように折ってきた折り鶴だって、折るだけならなんとかなる。

でも、最初はただの平らな一枚の紙。それが、何度か折るだけで、ちゃんと鶴の姿になるのです。

完成形を知っているから折れるのであって、何もないところから「この順番で折れば鶴になるはず」と考えつくのは、まったく別の能力だと思う。

私には、その発想力が決定的に欠けています。

折り紙の図案を考えた人、すごいなぁ。

ありがとう。

そんなことを考えながら手を動かす時間は、私にとってなかなか瞑想的(meditative な時間)です。

仕事の合間に、気分転換に紙を折りながら、会ったこともない誰かの頭の中に思いを巡らせる。

 

先日、YouTubeで「IQの違いによって、見えている世界がどう違うのか」というテーマの動画を見ました。

その動画では、IQの全く違う人たちが見る世界は全く違うものなのだ、という話をしていました。

もちろん、ひとつの動画で人間の能力や世界の仕組みをすべて説明できるわけではありません。

それでも、知能指数の見方として、なるほどなぁ、と思ったのです。

 

世の中には、同じものを見ていても、私には思いもつかないことを考えつく人がいる。

目の前にある一枚の紙から、鶴やカボチャを生み出してしまう人もいる。

そう考えると、私が毎日せっせと折っているジャック・オー・ランタンも、ただのハロウィン飾りではなくなってきます。

もしオリガミの世界にも、IQならぬ「オリガミ指数」というものがあったなら。

私はきっと、かなりの落ちこぼれです。

まぁそれでいいのです。

自分で図案を考える才能はなくても、誰かが考えてくれた図案を折って、チョコレートを詰めて、同僚のデスクにそっと置くことはできる。

オリガミ指数は低くても、いたずらの実行力とお菓子の配布能力なら、そこそこある。

今年の10月も、私はそんな自分の持ち場で、せっせとカボチャを量産しています。

             

 

日本語が通じない安心感、ついに終了

令和8年10月9日(金)

 

お隣のご近所さんが家を売って引っ越していったのは、8月の終わり頃だったでしょうか。

「寂しくなるわね」とお別れをしたものの、Out of Sight, Out of Mind(去る者は日々に疎し)とはよく言ったもの。

その後は、誰が越してくるのかが、もっぱらご近所さんとのゴシップネタになっていました。

 

家の中は入居前に改装していたようで、工事関係者の出入りは毎日のようにあるものの、

肝心の住人らしき人の姿は見かけず。

そんなことが1ヶ月ほど続いた、今日金曜日。

 

在宅勤務の日。やる気のなさを隠す気もないルームウェア姿で、お嬢さんを外に出したところ、

身なりの整った年配の男性と玄関先でばったり。

 

「最近、越してきた者です」

と、ご丁寧に挨拶をしてくださいました。

こちらも自己紹介をすると、

「もしかして、日本のお名前?」

「そうです」

「私、長らく日本に住んでいました」

おお。これはちょっと意外な展開。

「日本語は?」

と日本語で聞いてみると、

「少しだけ」

と、これまた日本語で返ってきました。

「あ、どうも」

と、なぜか反射的に日本語で挨拶し、お辞儀をする私。

すると、向こうも「こちらこそ」と頭を下げる。

 

英語訛りながらも流暢な日本語と、自然な日本式のお辞儀。

なんとも不思議な、そしてちょっとうれしいご近所さんとのご対面となりました。

 

そもそも、向こうから私の名前に気づいて日本人かと尋ねてきたうえに、日本に長く住んでいたという話。

少なくとも、日本に対して悪い印象を持っているわけではなさそうです。そう思いたいところ。

 

日本に馴染みのある人がご近所に越してきたというだけで、ちょっとテンションが上がるものですね。

異国暮らしも長くなると、こういう小さな共通点が妙にうれしい。

……と、喜んでいたのですが。

 

ひとつ、気づいてしまったことがあります。

これからは窓を開けて、日本語でバカ話をするのが少々はばかられる。

今までは、何をしゃべろうがご近所には通じないという、ある種の安心感がありました。

それが、まさかのお隣に日本語の分かる人。

 

いや、もちろん「少しだけ」とおっしゃっていたので、そこまで心配する必要はないのかもしれません。

でも、こういうときに限って、聞き取られたくない話ほど、はっきり聞こえるもの。

新しいご近所さんとの出会いに、うれしさ半分、ちょっとした緊張半分。

 

ポートランドの我が家、これからは日本語にも少々の品位が求められることになりそうです。

       

                (チャッピー画伯)

 

車通勤になったのに、なぜか帰宅が遅くなっている

令和8年10月2日(金)

 

最近、何かがズレている。

 

仕事が以前より格段に忙しくなったわけでもないのに、夜更かしが増えています。

なぜだろう。

考えてみると、帰宅が遅い。

なぜだろう。

車通勤になったから。

 

……いや、普通は逆では?

今の職場に転職して以来、ずっとバス通勤をしていました。

ところが、今年度からバスの便数が大幅に減少。

私が利用していた路線は別の路線と統合され、停留所が増えたうえに、運行本数は激減。家からダウンタウン方面は朝に2本、帰りのダウンタウン発も夕方に2本という、なかなか選択肢の少ない時刻表になってしまったのです。

そんなタイミングで、管理職の一人が職場を離れ、オフィスのガレージのFob(入退場用の電子キー)が一つ余ることに。

ありがたいことに、私が使わせてもらえることになりました。

 

バスの減便で困っている人は、私のほかにもいるはず。

そう思うと、ちょっと遠慮してしまったのですが、

「こういう場合の正しい返答は、『ありがとう』だけよ」

と教えられまして。

なるほど。では、ありがたく。

こうして、長年のバス通勤から車通勤へと切り替わったわけです。

 

ここまでは、なかなかラッキーなお話。

問題は、その後。

 

バス通勤をしていた頃は、帰りの便に間に合わせるため、午後4時55分あたりにはオフィスを出ていました。

ところが、車通勤になってからというもの、気がつけば午後6時半、ひどいときには7時頃までオフィスに居座っている。

 

誰かに残業を命じられているわけでもありません。

ただ、何となく。

「ここまでやってから帰ろう」

「これだけ片づけておこう」

「あと少しでキリがいいし」

……と、帰る理由よりも、もう少し仕事を続ける理由を見つけるのが上手になってしまった。

これ、日本人あるあるではないでしょうか。

 

もちろん、車通勤になったおかげで、バスの時刻表に振り回されることはなくなりました。ガレージのFobも、本当にありがたい。

返却する気は、今のところありません(笑)。

 

ただ、ふと思うのです。

バスの時間に合わせて帰っていた頃は、良くも悪くも、帰る時間を自分で決める必要がなかった。

今はその制約がなくなったぶん、自分で自分に「今日はここまで」と言わなければならない。

自由になったはずなのに、自由の使い方が分からない。

何とも皮肉な話です。

せっかく手に入れた通勤の自由を、オフィスでの滞在時間延長に使ってどうする。

 

というわけで、これからは帰る時間をあらかじめ決めて、そこできっぱり仕事を切り上げる練習をしようと思います。

仕事を終えるのも、仕事のうち。

そう自分に言い聞かせながら、今日もガレージのFobを握りしめる。

便利なものを手に入れたのだから、今度はそれをちゃんと自分の時間のために使わなくては。

 

まずは、午後5時台にオフィスを出るところから。

そう思いながら、「明日こそは」「来週こそは」を繰り返している。

まあ、長年身についた習慣は、そう簡単には変わらないものです。

来週こそは、少しだけ自分の時間を取り戻せますように。

 

       

             (チャッピー画伯作)